将来、人口減少で年金が貰えなくなる事はあり得るのか

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「未来年表 人口減少危機論のウソ」高橋洋一著 を読みました。

この本は、2017年7月に発売された「未来の年表」河合雅司著への反論
という形になっていますが、私は河合本は読んでいません。

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なお、今年の5月に続編の「未来の年表 2」も発行されています。


さて、“人口が少なくなる”のは悪いことなのでしょうか。

日本では、戦前や戦後の一時期に「国土の狭い日本に一億を超す
人を養う余裕はない」ので「外国に移民」とか、「産児制限する」
など、人口の抑制策をとった時代もありました。

また、18世紀にイギリスの経済学者マルサスが発表した「人口論」
も思い出されます。マルサスは「人口は幾何級数的に増えるが、
食料は算術級数的にしか増えないので、人口の増加を抑制する必要
がある」と主張しました。

マルサスの人口論に反して
先月、日本の人口は今年1年で約40万人減少する見込みと発表され
ました。そして、50年後には日本の人口は4000万人減って、
8000万人ほどになるとのこと。

人口が減りだすと、一転して「大変だ、日本が縮んでいく」と危機
をあおる言説があふれています。

少子高齢化時代になっていること、人口減少が進んでいることは
間違いない事実ですが、そのことが私たち(と後世代の人たち)
に何か決定的な負の影響をもたらすのか、どうも私には、そうは
思えません。

この私の思いにぴったりの回答を示してくれたのが、高橋さんの本
です。


河合さんの問題提起に対して、高橋さんは一つずつ具体的に反論してい
ますが、このブログでは、多くの人が一番関心を持っていると思われる
“年金”について、両者の主張をみてみます。

河合さんは、「2050年に団塊ジュニア世代が75才以上となるため
、社会保障制度が崩壊の危機に直面する」と言っているようです。

高橋さんは、これに対して「人口減少で年金制度が崩壊することはない」
と明確に否定します。

その根拠として、“年金は保険”であることをあげています。

現役世代が負担する保険料の総額は、年金としての支給総額に
一致するように保険数理を用いて計算されています。

私見も交えてもう少し言えば、現役世代が負担する保険料総額は
賃金総額×保険料率です。

賃金総額は一人当たりの平均賃金×現役世代の人数
ですから、
保険料総額が変わる要素は、保険料率、平均賃金、現役世代の人数
の三つです。

従って、現役世代の人数が減っていっても、保険料率を上げるか、
賃金が上がるかすれば年金の支給総額は変わらない。

または、保険料総額の減少に見合うように、年金の支給総額を減らす
方法もあります。

年金の支給総額はインフレ率や賃金の減少率によるカット、支給年齢の
引き上げなどで調整出来ます。

このように見ていくと、人口減少は年金制度に影響を与えるひとつの
要素ではありますが、人口減少で制度が崩壊すると結論づけるのは
間違いであることがわかります。

実は、すでに政府は今後の現役世代の人口の減少と平均余命の伸びを
見越して、給付を抑制する“マクロ経済スライド”という制度を導入済み
です。


「消費税をもっと上げないと社会保障制度が持たなくなる」という説が
世の中に流布しています。

高橋さんは「消費税を社会保障に当てている国は日本以外にはない」
「消費増税を目論む財務省が社会保障費への世間の不安を煽っている」
と指摘しています。

高橋さんは、さらに論を進め、中央政府の役割を外交、国防、大きな
スケールでやるべき年金制度などの社会保障などに限定し
その他のインフラ整備、教育、社会福祉などを州や市町村へ移譲する
地方分権を進めるべきと主張しています。

そして国の税として応能税、人税(所得税、相続税)、地方税として
応益税(消費税)、物税(固定資産税など)とすべきとしています。

高橋さんの地方分権や税のあり方についての意見には、傾聴すべきもの
があるとおもわれますが、道州制などの行政の改革や税制の大胆な
改革が行われるのはいつのことか、あまり期待できそうもありません。

ともあれ、将来、年金制度が崩壊して年金を貰えなくなると言った事
はありません。物価や賃金などの趨勢や平均余命の伸びの程度、人口
減少率の推定値の誤差などによって、支給額が減ることはあるでしょう。
支給年齢のさらなる引き上げもあるかもしれません。

しかし、支給額の減少も長い間の微調整であり、急激な減額はないと
思います。













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