「若返るクラゲ 老いないネズミ 老化する人間」その2

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老化のいきつくところは、“死“ですが、生まれてから死ぬまで
の時間、すなわち“寿命“は、生物によって様々です。

生物の寿命

生物の寿命は、単細胞生物、植物、昆虫、哺乳類などで、それ
ぞれ短命なものや長命なものなど実に多彩です。

この本で取り上げている長命のものをいくつかピックアップす
ると

○ハコヤナギの木は、土の中で何千年も繁殖することができる
○たった一つの種子から生まれ根は全てつながっているアメリ
 カヤマナラシの林の樹齢は、8万歳
○一本の木で最も高齢なのは、タスマニアの南極ブナで、六千
 歳
○カリフォルニアのセコイアの木は、三千歳
(屋久島の縄文杉の樹齢も、推定3千年以上とされています。)
○珊瑚は動物ですが、トリニダードの2000歳の珊瑚、ハワイ
 諸島には4000歳を超えるものがあるそうです。

生物は寿命の長さだけでなく、生きている間の老化のパターン
も様々です。

○トカゲや鳥のほとんどは、全人生の間一定のペースで老化が
 進みます。
○せみ、海鳥、アオノリュウゼツランは何十年も全く老化せず
 突然死します。

生物の中には寿命がハッキリしないものもあります(アメリカ
の北東部に住む亀やセリ科のウマノミツバ)。

時の経過とともに死ににくくなっていくサメ、ハマグリ、ロブ
スター、ほとんどの木は一年ごとにだんだん大きく強くなる。

著者は、このような寿命や老化のスピードや方向性などの多様
性は、生物の自然選択の証だと言ってます。

このように老化の形は様々ですが、では老化とはどのように定
義されるのでしょうか。

人口統計学者の定義する老化

「老化とは死亡率が増加することだ」換言すれば「動物は歳を
とるとより高い死亡リスクにさらされる」

1年間で死亡する確率人の場合

20歳 0.001 40歳 0.002 60歳 0.01 80歳 0.06 100歳 0.36
(20 歳の人が1年間に死ぬ人は1000人に一人、80歳の人は
 100人のうち6人死ぬ)(アメリカの2010年の数値)

上記の死亡リスクは年齢とともに上昇するだけでなく、上昇率が
どんどん急激になっています(老衰加速)。
人間以外の種では、死亡リスクが上昇したのち、横ばい状態にな
る例(老衰減速)や死亡リスクが上昇しない例(老衰否定)まで
あります。

もう一つの老化の定義

生殖能力の低下が二つ目の定義です。
死亡リスクが「どれだけの人間が死ぬか」であるのに対し、生殖
能力は「どれだけの子供を産めるか」で定義されます。
男性は成人後にだんだん生殖能力を失うが、女性は閉経後一気に
生殖能力ゼロになります。

しかし、前述のアメリカの亀は、何十年もかけてゆっくり大人に
なり、生殖能力は上昇し続け死亡リスクも減っていきます。

ハミルトンの証明

生物学者のウイリアム・D・ハミルトンは、「全ての有機体は年
をとる」ことを証明しました。彼は「老衰は進化の避けがたい結
果」であり、「どんな生物も逃れることができない」と主張して
います。

しかし、実際にはこの主張に相反する事例が沢山あり、この主張
は誤っていました。

例えば、アホウドリやハダカデバネズミは生きている間中完璧な
健康を維持し、あらかじめ定められた時がくるといきなり死にま
す。

また、際限なく大きくなっていくと同時に、生殖能力を増してい
くハマグリの最高齢は507歳と記録されていて、750ポンド
(340kg)まで成長します。

渦虫の一種であるプラナリアは、食べ物が十分ないと、計画的に
(生殖器官、消化器官、筋肉の順に)自分自身の体を食べていき
ます。脳と神経細胞だけになったプラナリアに餌を与えると、成
長をはじめ失った全ての部分を再生していきます。これは、逆向
きの老化、すなわち若返りの例です。

ベニクラゲも、卵を産んだ後で、自分もポリプという幼体に戻っ
て新たな人生を始めます。これは、成熟細胞を幹細胞に戻すこと
で達成されます。

鮭が、産まれた川に戻り産卵することは、よく知られていること
ですが、産卵の後どのようにして死んでしまうのでしょうか。

鮭が産卵場所に着くと、代謝が最後の崩壊を起こし、副腎がステ
ロイドを大量に送り出し急激な老化を起こします。彼らは食べる
のをやめます。さらにステロイドが免疫システムを破壊するため
体が真菌感染症で覆われます。腎臓の萎縮や循環系も衰え、動脈
も機能障害を起こします。

鮭は一生懸命に川を昇り最後の力を振り絞って産卵し、力尽きて
死んでしまうのではありません。産卵の後に死がやってくるよう
に遺伝子的に時間設定されているのです。

タコの雌は、卵を産むと食べることをやめて卵を守り、卵が孵化
すると数日のうちに死んでしまいます。タコには視柄線という内
分泌線があり、そこからの分泌物が、タコの配偶行動と母性行動
と死をコントロールしています。

老化のスイッチを切ることのできる蜂

女王蜂と働き蜂は同じ遺伝子を持っていますが、寿命は全く違い
ます。女王蜂の場合、ローヤルゼリーが老化のスイッチを切りま
す。働き蜂は数週間しか生きられませんが、ローヤルゼリーを与
えれた女王蜂は何年も生きて卵を産み続け、蓄えた精子がなくな
り受精していない蜂しか産め亡くなった時、働き蜂に殺されて死
にます。

以上、第2章肉体の遍歴ー老化のさまざま のエッセンスを紹介
しました。

著者は、こうした老化の多様性は全て、自然は意志の力で老化を
進めたり止めたりできることを暗示していると述べています。

次回は、現代の進化論を取り上げます。


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