「若返るクラゲ 老いないネズミ 老化する人間」その4

前回、老化の原因の一つとして、テロメアの短縮による
細胞の複製老化について紹介しました。

今回は老化の原因の二つ目として、アポトーシス(細胞
の自死)を紹介します。

アポトーシス
オタマジャクシがカエルになるとき、尻尾を失いますが
これはアポトーシスによるものです。

人の胎児も、5本の指を形成するとき、指と指の間の細胞
を自死させます。

人間の皮膚や血液や肝臓の細胞が新しいものと入れ替わる
のは、再生のためのアポトーシスによっています。

また、細胞は自分がウイルスに感染していることを感知
すると、ウイルスに成長と拡大のチャンスを与えるよりも
自らの死を選びます。前癌性の細胞は、自分が前癌性であ
ることを見抜き、自分自身を抹殺します。

このように、アポトーシスは人間の体の形成や維持に欠か
せない仕組みなのですが、一方アポトーシスは人の老化に
も深く関わっています。

アポトーシスはダメージを負った細胞を除去しますが
加齢とともに悪い細胞の一部を見逃すようになり、それが
癌の発症につながります。これはアポトーシスが自分の仕事
を仕損なったことを意味するもので、「第1種過誤」と呼ば
れています。

同様に重要なのが「第2種過誤」で、これは神経や筋肉など
の正常な細胞がアポトーシスを起こします。人間が老化する
とアポトーシスの反応はどんどん速くなり、健康でしっかり
機能している細胞がアポトーシスによって自壊していき、
その結果、全身がダメージを受けます。

アポトーシスが関与している高齢者の病気には、アルツハイ
マー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、筋肉減弱症
骨粗しょう症などがあります。

筋肉減弱症は、加齢とともに筋力が低下するというありきた
りな現象に対する医学用語です。筋力を維持するには、運動
が必要ですが、筋肉は最終的にはアポトーシスによって衰え
ていきます。

パーキンソン病は、脳の特定部分の神経細胞(黒質のドーパ
ミン作動性ニューロン)が失われることが原因で発症します。

女性の閉経もアポトーシスの作用によるものです。女性は何万
もの卵細胞を持って生まれてきます。しかし、実際に受精の
チャンスを与えられるのは、そのうちの数百に過ぎません。
さらに毎月卵管膨大部に入ってくるのはたった一つだけで
その他の卵細胞は、卵胞閉鎖と呼ばれるプロセスで死んでし
まいます。女性の卵細胞の圧倒的多数は無駄に死んでいき
やがて卵細胞がなくなって、受精能力は失われてしまいます。

これらの病気や生殖能力の喪失は、全て自殺遺伝子の働きに
よるものです。

アポトーシス(細胞の自死)のメカニズムをみてみましょう。

私達の体はおおよそ60兆個の細胞でできていますが、その細胞
の中には、ミトコンドリアという小器官があります。

通常、ミトコンドリアは、体を動かすエネルギーを作り出して
います。

細胞の核から自殺のシグナルを受け取ったミトコンドリアは
フリーラジカルである過酸化水素を多量に発生させ、細胞を
破壊します。

ミトコンドリアの祖先は、バクテリアでした。生物の細胞に
侵入したバクテリアが宿主の細胞を殺すことから共生するように
進化したのです。

アポトーシスもしくは細胞自殺は、プログラム死の最も古い
形で、10億年以上の歴史があるのです。
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