「若返るクラゲ 老いないネズミ 老化する人間」その5 完

著者は人の老化の仕組みを4つ上げています。

そのうち細胞の複製老化(テロメアの短縮)とアポトーシス
については、前のブログで紹介しました。

今回は、残る二つ「炎症」と「胸腺」を取り上げます。

炎症

炎症は感染に対する重要な第一防御線ですが、加齢とともに
識別力を失い自分自身を攻撃し始めます。

炎症が攻撃するのは、関節(関節炎)、動脈(アテローム性
動脈硬化症)、ニューロン(アルツハイマー病)などです。
また多くのタイプの癌にかかわりがあります。

ここ十数年、炎症はあらゆる老人病の元凶としてその名を挙
げられています。

心疾患はコレステロールの沈着が原因というのが、医学界の
一般的見解でしたが、心臓発作や脳卒中は動脈壁の炎症部が
破れてしまうことによる炎症性疾患だという考え方が、現在
主流になっています。

胸腺

胸腺は、胸の上部(胸骨のすぐ後ろにある親指大の器官で
体の最も集中的な防衛を担っている白血球であるT細胞を産出
しています。

胸腺のサイズは思春期に最大となり、その後は何十年にわた
って収縮していき、75歳の時はもともとのサイズの5分の1に
なってしまいます。

体の免疫システムは、基本的に胸腺の働きに依存しています。

若い人にはまったく何でもないウイルス感染に老齢者が弱い
のは、胸腺の収縮による免疫力の低下が最大の原因です。

免疫システムは外部から侵入してくる細菌やウイルスを攻撃
するだけでなく、体の内部に発生する前癌性細胞を攻撃します。

しかし、老化によって炎症や自己免疫疾患は、免疫によって
自分自身を攻撃し始めることによって起きるのです。


さて、ここまで5回にわたって、老化の理論や生物のさまざま
な寿命、人の老化の仕組みなどを紹介してきました。

この本には、著者が主張する集団選択を裏付けるさまざまな
事象や進化生物学上の論争の歴史、アンチエイジングの方法
老化の近未来など、数々の興味深い事実が語られています。

たまたま新型コロナのパンデミックの最中でもあり、また人生
の終盤を迎えつつある私にとって、大変興味深い本でした。


「生 病 老 死 」は人間の宿命として宗教のメインテーマ
となってきました。

老化や死が避けられないものであると同時に、老化は進化によ
って選択されたものという著者の主張は納得できます。

そして、老化の行き着く先の「死」の意味は、「世代交代」です。
次の世代に活躍の場を譲るということです。

最後に、この本に引用されている哲学者の言葉の一部を紹介
しておきます。

「死は人生の出来事ではない。死を人は経験することがない」

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